Japanese
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特集 トランスポーターの構造と機能協関
ABCトランスポーターの病態
Etiological Role of ABC Transporters in Cancer and Genetic Diseases
和田 守正
1
,
内海 健
1
,
中村 崇規
1
,
桑野 信彦
1
Morimasa Wada
1
,
Takeshi Uchiumi
1
,
Takanori Nakamura
1
,
Michihiko Kuwano
1
1九州大学医学部生化学講座
pp.308-314
発行日 1999年8月15日
Published Date 1999/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901712
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生体には薬などの異物を排出して生体を防御する仕組みが備わっている。この仕組みが障害されると様々な病気が発症し,過剰に働くと薬が効かないがんが発生する。最近,この仕組みを担っている実体のいくつかが明らかにされてみると,いずれもがABC(ATP binding cassette;ATP結合カセット)トランスポーターと呼ばれるお互いによく似た一群のタンパク質であることがわかった。このタンパク質群はATPのエネルギーに依存して作動する排出ポンプであり,数回の膜貫通ドメインとATP結合領域(ABC,nucleotide binding fold;NBF)を含む一つの細胞質ドメインが各2回繰り返される構造になっている1)(図1)。最近のゲノムプロジェクトの成果として,大腸菌の全塩基配列が決定されたが,それによると最も大きな遺伝子ファミリーがこのABCトランスポーターファミリーであり,このファミリーが大腸菌からヒトまで如何に重要な働きを担っているかが推察される。以下に,このABCトランスポーターの役割とその破綻によって生ずる病態を,がんと遺伝病の二つの側面から考えてみよう。
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