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特集 クロストリジウム・ディフィシル感染症
5.症例提示 -重症クロストリジウム・ディフィシル感染症-
Case presentation-Fulminant colitis due to Clostridium difficile-
中村造
1
,
松本哲哉
2
Nakamura Itaru
1
,
Matsumoto Tetsuya
2
1東京医科大学病院感染制御部 助教
2東京医科大学微生物学分野 主任教授
キーワード:
Fulminant colitis
,
Ribotype 027
,
Epidemic strain
Keyword:
Fulminant colitis
,
Ribotype 027
,
Epidemic strain
pp.52-56
発行日 2014年12月25日
Published Date 2014/12/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201501052
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若年成人女性が帝王切開後に,発熱,下痢を認め,血液検査で白血球数とCRP(C反応性タンパク)の著明な上昇を認め,当院(東京医科大学病院)に転院となった。クロストリジウム・ディフィシルのトキシン陽性で,腹部CTで全大腸炎と麻痺性イレウスを認めたため,劇症型のクロストリジム・ディフィシル感染症と診断された。バンコマイシンの経口,経直腸投与および免疫グロブリンの併用を行ったが改善を認めず,試験回復にて下部消化管穿孔が判明し,穿孔部分のストマ造設が行われた。術後は経ストマ的なバンコマイシン投与に加え,リネゾリドの経静脈投与により軽快した。患者から分離された菌株を解析した結果,PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)リボタイプ027であることが判明し,さらに,モキシフロキサシン耐性で,欧米で報告されている強毒株のepidemic strainによる感染事例と判明した。このタイプの菌による激症型感染はわが国では初めてのケースであるが,今後,わが国でも強毒株による感染に注視すべきと思われる。