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連載 私達の研究(134)
ヘリコバクター・ピロリの病原因子と分子疫学に関する研究
Studies for virunece factors and molecular epidemiology of Helicobacter pylori
山岡吉生
1
Yamaoka Yoshio
1
1大分大学医学部環境予防医学講座 教授
キーワード:
ヘリコバクター・ピロリ,病原因子,分子疫学研究,人類移動史
Keyword:
ヘリコバクター・ピロリ,病原因子,分子疫学研究,人類移動史
pp.100-107
発行日 2014年4月25日
Published Date 2014/4/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201405100
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私は20年にわたり,ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の研究を行っている。その主要テーマは2つあり,ひとつ目はピロリ菌の病原因子の探求で,今までに3つの新発見をした。すなわち,病原因子CagAに存在する繰り返し配列には東アジア型と欧米型があり,繰り返し数が胃がん発症と何らかの関連をもっていること,炎症惹起に関与する新規病原因子Outer inflammatory protein(OipA)を発見,命名したこと,十二指腸潰瘍誘導因子であるDuodenal ulcer promoting(DupA)を発見,命名したことである。2つ目のテーマはピロリ菌をマーカーにした人類移動史の研究で,世界各国でピロリ菌を採取し,分子疫学の手法を用いて,ピロリ菌が人類とともにアフリカを旅立ち,世界中に広がっていく移動史を徐々に明らかにしてきた。本稿では,これらの研究を背景も含めて解説する。