連載 エイズに見られる感染症と悪性腫瘍(5)
トキソプラズマ脳症
渡邊大
1
,
小川吉彦
2
Watanabe Dai
1
,
Ogawa Yoshihiko
2
1独立行政法人国立病院機構大阪医療センター臨床研究センターエイズ先端医療研究部・HIV感染制御研究室長
2独立行政法人国立病院機構大阪医療センター感染症内科・医師
pp.4-10
発行日 2014年2月25日
Published Date 2014/2/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201403004
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トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)は人獣共通寄生虫のひとつである。ヒトへの感染は不顕性感染となることが多く,感染後は脳内や筋肉内にシストを形成する。HIV感染にともなう免疫不全の進行にともない潜伏感染している脳内のトキソプラズマが再活性化するとトキソプラズマ脳症を発症する。AIDS患者の頭蓋内腫瘤性病変の中でもっとも高頻度に認められる。特徴的なMRI所見や抗トキソプラズマIgG(免疫グロブリンG)抗体陽性から診断的治療が開始されるが脳生検を要することもある。