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特集 わが国でも問題のベクター媒介性感染症
6.ベクターから見たマラリアの世界的な流行と予防対策における将来的展望
Malaria situation in the world and possibility to control -From the view of vectors-
松岡裕之
1
Matsuoka Hiroyuki
1
1自治医科大学医動物学 教授
キーワード:
ハマダラカ
,
蚊帳
,
殺虫剤
,
異文化導入
Keyword:
ハマダラカ
,
蚊帳
,
殺虫剤
,
異文化導入
pp.66-74
発行日 2014年1月25日
Published Date 2014/1/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201402066
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マラリアは診断をつける医療施設が存在しない地域に多く発生しているため,罹患者数や死亡者数は正確には把握されていない。1950年代,DDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)の残留噴霧により媒介蚊を減少させることでマラリアの制圧が可能かと思えた時期もあったが,DDTのヒトへの毒性や残留性の問題,また,DDT耐性のハマダラカの出現などにより残留噴霧法は挫折した。最近20年間は,殺虫剤を染み込ませた,あるいは織り込んだ蚊帳を普及させることで感染蚊を減らし,マラリアを防除する方法が普及している。人々に蚊帳の中で就寝してもらうには,疾病の防除以上に,蚊に刺されることが嫌と思える文化の導入が必要と思える。