Japanese
English
特集 野外活動と感染症
3.蚊感染症 2)寄生虫症
Mosquito-borne parasitic diseases
狩野繁之
1
Kano Shigeyuki
1
1国立国際医療研究センター研究所熱帯医学・マラリア研究部 部長
キーワード:
ベクター伝播疾病
,
マラリア
,
フィラリア症
,
ハマダラカ
,
ネッタイイエカ
Keyword:
ベクター伝播疾病
,
マラリア
,
フィラリア症
,
ハマダラカ
,
ネッタイイエカ
pp.66-74
発行日 2015年4月25日
Published Date 2015/4/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201505066
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蚊によって媒介される寄生虫症にマラリアおよびリンパ系フィラリア症がある。前者のヒト固有の病原体には,Plasmodium falciparum,P. vivax,P. malariae,P. ovaleの4種があるが,近年,サルマラリア原虫の1種P. knowlesiのヒト感染症がアジア太平洋の広い地域で報告されている。後者には,バンクロフト糸状虫症を起こすWuchereria bancroftiとマレー糸状虫症を起こすBrugia malayiの2種がある。マラリアはハマダラカ,バンクロフト糸状虫症はネッタイイエカ,そしてマレー糸状虫症はおもにヌマカで媒介される。マラリアは急性の発熱性疾患で,特に熱帯熱マラリアは重症化して患者を死亡させる。フィラリア症は慢性の疾患で,陰嚢水腫や象皮病などを起こし,患者は外観上・機能上の障害を負う。両疾患ともわが国では制圧できたが,今なお世界の熱帯・亜熱帯地域を中心に猖(しょう)獗(けつ)している。