カラーグラフ 感染症グローバリゼーション・1【新連載】
目で見るマラリア対策(1)—マラリアの疫学
金子 明
1
1東京女子医科大学国際環境・熱帯医学教室
pp.747-752
発行日 1997年4月10日
Published Date 1997/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904472
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マラリアは,現在なお人類にとって最も重要な健康問題の一つである.図1は現在の世界におけるマラリア浸淫地を示したものであるが,世界保健機関(WHO)によると,世界人口の半数はマラリア感染の危険性がある地域に居住しており,年間約2億人の新たな発症があり,約200万人が死亡している.そのマラリア死の多くは小児である.
現在,マラリアはアジア,アフリカ,中南米の熱帯・亜熱帯地方の国々に集中しているが,元々は地球上のより広い範囲に広がっていた.図2に示すように,人類による大規模なマラリア対策が開始される前である1946年の時点では,日本,北米,欧州,豪州などでもマラリアの伝播が起こっていた.ただし,アフリカであってもキリマンジャロなどの3,000m級の高地,および太平洋の内ポリネシアの島々には媒介蚊が生息せず,元からマラリア伝播はなかった.
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