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特集 細菌の進化から考える抗菌薬耐性
3.マクロライド耐性 -肺炎球菌のもつケトライド耐性機構を中心に-
Macrolide resistance -Molecular mechanisms of resistance to ketolide in Streptococcus pneumoniae
山本友子
1
Yamamoto Tomoko
1
1千葉大学大学院薬学研究院微生物薬品化学研究室 教授
キーワード:
マクロライド耐性
,
テリスロマイシン
,
肺炎球菌
,
rRNA修飾
Keyword:
マクロライド耐性
,
テリスロマイシン
,
肺炎球菌
,
rRNA修飾
pp.44-54
発行日 2013年12月25日
Published Date 2013/12/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201401044
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マクロライドは,組織移行性,特に呼吸器への移行性に優れていることから,呼吸器感染症の治療に広く用いられている。リボソーム50Sサブユニットを構成する23S rRNAの2058位のアデニン(A2058)に結合し,タンパク合成を阻害することで抗菌活性を示す。おもな耐性因子は標的部位A2058をメチル化する酵素Ermであり,現在,臨床より分離される肺炎球菌の実に60%がerm(B)遺伝子を保有するマクロライド耐性菌である。これに対し,ケトライド系抗菌薬テリスロマイシンはリボソームへの結合力が強いため,erm(B)保有の耐性菌にも有効で,特に肺炎球菌に強い抗菌活性を示す。本稿ではerm(B)の超高発現変異により肺炎球菌がテリスロマイシンに軽度耐性となることを示す。また,肺炎球菌ゲノムにコードされる内因性rRNAメチル化酵素RlmA II の変異と,Ermの相乗作用によるテリスロマイシン高度耐性化のメカニズムについて述べる。さらに,内因性rRNA修飾システムの変化がもたらす薬剤耐性について紹介する。