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連載 私達の研究(125)
HIVエンベロープの中和抗体抵抗性を解除する鍵
Key for opening the shield covering the conserved epitopes targeted by anti-HIV neutralizing antibodies
吉村和久
1
,
俣野哲朗
2
Yoshimura Kazuhisa
1
,
Matano Tetsuro
2
1国立感染症研究所エイズ研究センター 第一室室長
2国立感染症研究所エイズ研究センター センター長
キーワード:
HIV-1,中和抗体,NBD-556,エンベロープタンパク,gp120
Keyword:
HIV-1,中和抗体,NBD-556,エンベロープタンパク,gp120
pp.109-115
発行日 2013年7月25日
Published Date 2013/7/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201308109
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他のウイルス感染と同様にHIV感染に対しても感染細胞を直接攻撃する細胞性免疫反応と中和抗体による液性免疫反応は起こっている。にもかかわらず,これまで自己の免疫だけでHIVを排除できたという報告は寡聞にして知らない。特に中和抗体は常にウイルス変異の後手後手に回り,最終的に抗体産生システムそのものが疲弊し機能不全に陥る。生体内で苦労して作った中和抗体が,いざ出陣のときにはすでに時代遅れという状況をなんとかできれば,みずからの免疫を有効利用できる可能性があるのではないだろうか。本稿では,最近,我々のグループが研究開発を行っている,エンベロープの構造を変化させて中和抗体の感受性を回復させる新たな化合物について述べる。