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特集 地球規模で広がる耐性菌 -抗菌薬の多角的使用とその功罪-
7.ゲノムから見た薬剤耐性遺伝子の自然界における存在
Metagenomic exploration of antibiotic resistance in nature
黒田誠
1
Kuroda Makoto
1
1国立感染症研究所・病原体ゲノム解析研究センター センター長
キーワード:
環境メタゲノミクス
,
Metagenome
,
Resistome
,
Subsitome
,
β-lactamase
,
NDM-1
,
未開地
,
洞窟
Keyword:
環境メタゲノミクス
,
Metagenome
,
Resistome
,
Subsitome
,
β-lactamase
,
NDM-1
,
未開地
,
洞窟
pp.75-81
発行日 2013年5月25日
Published Date 2013/5/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201306075
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薬剤耐性菌の蔓延は我々人類の過剰な抗菌薬使用が根源にあることは間違いない。院内・市中・環境で著しい耐性菌汚染をコントロールするには分離同定および分子疫学の充実が必須であり,今後も重点的に対策を遂行していく必要がある。深刻な耐性菌の蔓延を制御するためにも,その根源を理解しておく必要があるだろう。本稿では,薬剤耐性菌がどのようにして出現するのか? という命題に対し,“院内や抗菌薬を使用する家畜飼育および糞尿で汚染された環境”という視点ではなく,そもそも,“自然界の何者かに初めから備わっていた形質ではないのか?”という観点から,薬剤耐性因子の起源を探索している報告を中心に概説する。フレミングのペニシリン発見以前から自然界の細菌はペニシリンを熟知しており,その対処法もあらかじめ備わっていて当然である。自然界に元来備わっている“薬剤耐性因子の起源を探索”することで薬剤耐性因子のリソースを把握し,諸悪の根源を摘み取るヒントを提示できるだろう。