特集 体内の細菌が作るもう一つの世界:マイクロバイオームの驚異
腸内細菌によるT細胞分化とDysbiosisが引き起こす炎症慢性化
本田 賢也
1
1理化学研究所統合生命医科学研究センター 消化管恒常性研究チーム
キーワード:
Clostridium
,
炎症
,
細胞分化
,
腸粘膜
,
T細胞
,
粘膜免疫
,
DNA配列分析
,
調節T細胞
,
メタゲノム
,
腸内細菌叢
,
Dysbiosis
,
Th17細胞
,
セグメント細菌
Keyword:
Gastrointestinal Microbiome
,
Cell Differentiation
,
Clostridium
,
Intestinal Mucosa
,
Inflammation
,
T-Lymphocytes
,
Sequence Analysis, DNA
,
Immunity, Mucosal
,
T-Lymphocytes, Regulatory
,
Metagenome
,
Th17 Cells
,
Dysbiosis
pp.1133-1137
発行日 2013年10月22日
Published Date 2013/10/22
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消化管粘膜は,環境と接し病原性微生物の最大の侵入経路となるため,頑強なバリアシステムを構築している.強い活性を持つ免疫細胞は,そうした消化管バリアにおける重要な構成要素として機能している.一方で,消化管免疫システムは,日常的に接する無害な食物抗原や腸内常在細菌に対しては,不必要に応答しないよう制御されている必要がある.こうした消化管免疫システムの活性化と抑制の調節に,腸内細菌の存在が深く関わっていることが知られている.近年,ノトバイオート動物解析や次世代シークエンサーによるマイクロバイオーム解析によって,個々の腸内細菌種が,それぞれ異なる様式で免疫システムに働きかけ,全体としてバランスのとれた免疫システムを構築していること,そしてその破綻が様々な疾患につながることが明らかになってきている.なかでもセグメント細菌(segmented filamentous bacteria)が,Th17細胞と呼ばれるエフェクターT細胞を強力に誘導すること,一方,Clostridium 属の細菌種が制御性T細胞(Treg細胞)と呼ばれる抑制性の細胞の数を増やし,その機能を高めることが明らかとなっている.
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