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特集 地球規模で広がる耐性菌 -抗菌薬の多角的使用とその功罪-
6.薬剤耐性遺伝子の伝播機構
Horizontal transfer of antimicrobial resistance genes
秋庭正人
1
Akiba Masato
1
1独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所細菌・寄生虫研究領域 主任研究員
キーワード:
薬剤耐性
,
遺伝子
,
水平伝播
,
トランスポゾン
,
プラスミド
Keyword:
薬剤耐性
,
遺伝子
,
水平伝播
,
トランスポゾン
,
プラスミド
pp.64-73
発行日 2013年5月25日
Published Date 2013/5/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201306064
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遺伝子の水平伝播が起こるためには,細胞内の異なるレプリコン間で遺伝子が転移する機構と,細胞から細胞へ遺伝子が移動する機構が必要である。グラム陰性菌では,IS26,ISEcp1,ISCR1といった挿入配列が細胞内での薬剤耐性遺伝子の転移に関連している。細胞から細胞への遺伝子移動にはおそらく接合伝達がもっとも重要な役割を果たしている。肉用鶏の生産現場は広域セファロスポリンに耐性を示すグラム陰性桿菌に高率に汚染されており,それらの耐性遺伝子は多くの場合,自己伝達性プラスミド上に存在する。これらのプラスミドは実験的には他菌種にも伝達し得る。挿入配列とプラスミドは薬剤耐性を規定する遺伝子領域の多様化を促進していると考えられる。