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連載 私達の研究(120)
サルモネラ感染分子機構の解明
Studies on the molecular mechanism of Salmonella infection
山本友子
1
,
高屋明子
2
Yamamoto Tomoko
1
,
Takaya Akiko
2
1千葉大学大学院薬学研究院微生物薬品化学研究室 教授
2千葉大学大学院薬学研究院微生物薬品化学研究室 准教授
キーワード:
Salmonella, T3SS, effector, macrophage, host response
Keyword:
Salmonella, T3SS, effector, macrophage, host response
pp.105-115
発行日 2013年2月25日
Published Date 2013/2/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201303105
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「感染」は2つの異なる生物間に形成される新たな生命現象であり,これを解き明かすには病原体側の巧妙な戦略と,それに対処しようとする宿主側の卓抜した機能の双方を理解しなければならない。サルモネラ属菌の有する主要な病原戦略は,腸管上皮細胞への侵入,宿主の炎症応答の制御,食細胞の殺菌機構を回避して増殖する細胞内寄生性である。サルモネラは高度に進化した2つのタンパク質輸送装置( III 型分泌装置)を使って多数のエフェクターを標的細胞へ直接注入し,それらをもって宿主の高次機能を攪乱あるいは巧みに制御することで病原性を発揮している。さらに,病原戦略の発現は感染過程で遭遇する生育環境の変化や宿主の感染防御機構に対応して厳密に制御されている。本稿では,細菌のエフェクターと宿主高次機能との相互作用を基軸としたサルモネラ感染分子機構と,病原戦略の時空間制御機構について述べる。