連載 目で見る真菌と真菌症(16)
11.東日本大地震後の津波溺水患者にみられたスケドスポリウム症
小泉瑠美
1
,
村田興則
1
,
佐々木信人
2
,
中村豊
3
Koizumi Rumi
1
,
Murata Okinori
1
,
Sasaki Nobuhito
2
,
Nakamura Yutaka
3
1岩手医科大学内科学講座呼吸器アレルギー膠原病内科分野
2岩手医科大学内科学講座呼吸器アレルギー膠原病内科分野 助教
3岩手医科大学内科学講座呼吸器アレルギー膠原病内科分野 講師
pp.4-9
発行日 2013年2月25日
Published Date 2013/2/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201303004
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
スケドスポリウム症は土壌や汚染水などに常在するPseudoallesheria boydiiの無性世代であるScedosporium apiospermumなどが経気道的にヒトの肺や副鼻腔に感染する深在性真菌症である。血液悪性疾患やステロイド投与などで免疫能が低下した宿主に発症する日和見感染として注目されているが,事故による溺水患者の難治性感染症としても多数報告されている。今回,東日本大地震にともなう津波溺水患者の肺胞洗浄液からスケドスポリウムが検出され,難治性の肺膿瘍,脳膿瘍を合併した症例を経験した。津波溺水患者においてはスケドスポリウムなどの真菌感染を疑い,早期から抗真菌薬の投与を行う必要がある。