連載 私の感染症研究を振り返って(41)
薬剤耐性の分子遺伝学から感染生物学へ(2)分子シャペロンとAAA+プロテアーゼの研究
山本友子
1
Yamamoto Tomoko
1
1千葉大学真菌医学研究センター 特任教授/帝京大学アジア国際感染症制御研究所 特任教授
pp.113-120
発行日 2017年1月25日
Published Date 2017/1/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201702113
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シャペロンとは「他のタンパク質分子が正しい折りたたみをして機能を獲得するのを助けるタンパク質の総称である」として生物学のほとんどの教科書に紹介されている。しかし,提唱者のJohn Ellis(1988年)による元々の定義では,「他のタンパク質の構造形成を助けるが,みずからはその最終成分にならないタンパク質1)」となる。シャペロンとは元来,若い女性が社交界にデビューする際に付き添う年上の女性を意味し,タンパク質が正常な構造・機能を獲得するのをデビューになぞらえた命名である。現在では分子シャペロンとも言われている。