今月の主題 呼吸不全とその管理
特殊な病態下の呼吸管理の実際
溺水
当銘 正彦
1
1沖縄県立那覇病院・内科
pp.648-649
発行日 1987年4月10日
Published Date 1987/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220899
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溺死・溺水の疫学
溺死(drowning)は,交通事故,墜落事故とともに3大事故死の一角をなし,わが国では毎年6,000人前後の溺死者を数えているが,とりわけ20歳未満の若年層に集中して発生する。溺水(near drowning)の原因の大半は水泳技術の稚拙によるが,その1/3程度はむしろ水泳上手に起こっている.すなわち,若者特有の虚栄や過信による状況の誤認,飛び込み時の外傷,あるいは飲酒や服薬などが溺水の伏線として作用する.特殊な例では,潜水距離を延ばさんがため,事前に行う過換気による低炭酸ガス血症は,潜水中の呼吸困難感を消失せしめ,低酸素血症による意識障害を招くといわれ,水泳中の過換気により誘発されるてんかん発作と併せ,過換気にまつわる溺水も散見される.
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