Japanese
English
連載 忘れてはならない輸入感染症と稀少感染症(8)
野兎病
Tularemia
藤田博己
1
Fujita Hiromi
1
1医療法人新心会馬原アカリ医学研究所 所長
キーワード:
野兎病
,
tularemia
,
野兎病菌
,
zoonosis
Keyword:
野兎病
,
tularemia
,
野兎病菌
,
zoonosis
pp.126-133
発行日 2013年1月25日
Published Date 2013/1/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201302126
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野兎病は野兎病菌の感染によるヒトと動物に共通の急性の発熱性疾患で,おもに北緯30度以北の世界各地に発生している。野兎病菌はマダニ類などの吸血性節足動物を介して野生鳥獣類間に維持されている。ヒトへの感染は節足動物による吸血や保菌鳥獣類との接触を通して起こる。わが国の野兎病は病名が示すようにノウサギからの感染が多い。輸入症例は知られていないが,海外滞在中の感染や保菌動物の輸入などにともなう機会はあり得る。確定診断には野兎病の想定が前提となるために早期の診断と治療が難しい場合がある。野兎病の化学療法に有効な抗生物質は,アミノ配糖体系,テトラサイクリン系,クロラムフェニコールおよびキノロン系で,ペニシリン系やセフェム系は無効である。