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連載 私達の研究(119)
鉄代謝およびイソニアジド耐性にかかわる結核菌分子の機能と治療法開発の可能性
Molecular mechanismes of iron metabolism and isoniazid resistance in Mycobacterium tuberculosis:Implications for clinical application
仁木満美子
1
,
松本壮吉
2
Niki Mamiko
1
,
Matsumoto Sohkichi
2
1大阪市立大学大学院医学研究科細菌学分野 助教
2大阪市立大学大学院医学研究科細菌学分野 准教授
キーワード:
鉄代謝,イソニアジド抵抗性,潜在性結核,抗酸菌特異的ヒストン様タンパク質
Keyword:
鉄代謝,イソニアジド抵抗性,潜在性結核,抗酸菌特異的ヒストン様タンパク質
pp.119-124
発行日 2013年1月25日
Published Date 2013/1/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201302119
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結核菌は宿主に感染後,休眠状態で長期間,潜伏感染することが知られている。また,これらの潜伏感染菌は抗菌薬に対する抵抗性を有しており,結核治療を困難にしている。筆者らは,定常期以降の結核菌体内に大量に発現する分子である抗酸菌特異的ヒストン様タンパク質Mycobacterial DNA-binding protein 1(MDP1)は生体にとって必須の元素である鉄の貯蔵および解毒に関与することで宿主内での長期生存に寄与するのみならず,抗結核薬であるイソニアジド(INH)の活性化酵素の発現を抑制することにより定常期以降にみられる結核菌のINH抵抗性の獲得に関与することを明らかにしている。本稿では,この分子をターゲットとした結核治療法開発の可能性について述べる。