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特集 忘れてはいけない人獣共通感染症
7.日本における野兎病
Tularemia in Japan
堀田明豊
1
Hotta Akitoyo
1
1国立感染症研究所獣医科学部 主任研究官
キーワード:
Francisella tularensis(野兎病菌)
,
ノウサギ
,
人獣共通感染症
Keyword:
Francisella tularensis(野兎病菌)
,
ノウサギ
,
人獣共通感染症
pp.67-74
発行日 2017年2月25日
Published Date 2017/2/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201703067
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野兎病はFrancisella tularensis(野兎病菌)感染による急性熱性疾患である。感染源は,げっ歯類やウサギ目の小型野生動物,ダニ,蚊,汚染された水,塵埃などで,北緯30度以北の各地で発生している。北米や欧州ではときおり大規模な流行が,日本ではおもに東北地方から関東地方において散発例のみが発生している。症状は菌の侵入部位により異なるが,リンパ節腫脹や潰瘍が認められることが多い。診断のポイントは,患者の野生動物との接触歴,流行地域における活動歴についての問診と,野兎病菌感染を示す実験室検査結果となる。ヒト-ヒト感染はなく,抗生物質にて治療可能である。感染症法にて全数把握の四類感染症に指定されている。