第Ⅲ部 治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉~新薬の広場~
消化器癌治療薬
中島裕理
1
,
川添彬人
1
1国立研究開発法人国立がん研究センター東病院消化管内科
pp.317-323
発行日 2019年1月31日
Published Date 2019/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201913317
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近年の抗癌剤領域では,従来の殺細胞薬に加え,分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬を中心に開発が行われており,消化器癌においても同様である。既に切除不能進行・再発大腸癌に対して承認されているトリフルリジン・チピラシル塩酸塩は,進行胃癌に対して全生存期間の延長を示し,現在承認申請中である。また分子標的薬は,切除不能肝細胞癌に対して有効性を示した報告が相次ぎ,これまで標準治療を大きく塗り替えている。近年,治療開発の中心である免疫チェックポイント阻害薬においては,ニボルマブが進行胃癌に対して全生存期間の延長を示し,実地臨床で使用可能であり,他の消化器癌においても複数の第・相試験が進行中である。また,2017年5月に,米国食品医薬品(FDA)は,ペムブロリズマブについて,microsatellite instability high(MSI-H)またはミスマッチ修復蛋白の欠損(dMMR)を有する固形腫瘍を対象に迅速承認を行い,今後,消化器癌領域においてもMSI-H/dMMRのスクリーニングが重要になると考えられる。