技術講座 血液
血液塗抹標本作成
中嶋 孝之
1
1慈恵医大病院中検
pp.112-114
発行日 1977年2月1日
Published Date 1977/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201277
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末梢血液塗抹標本を光学顕微鏡で観察することは血液学の基本であり,また最も重要な臨床検査の一つである.1枚の標本から白血球,赤血球,血小板などすべての血球について仔細に観察し,その結果から形態の異常,数の異常など血液及び造血器の病態を推定しうる.
1枚の標本からアウエル小体(Auer body)を持つ骨髄芽球が出現すれば直接,急性骨髄性白血病と診断されるなど,白血病や悪性骨髄腫など腫瘍細胞の発見など早期に疾病が診断され,治療できるのは貧血の場合と同じく1枚の標本と常に結びついていることを忘れてはならない.これにはきれいに正確に塗布された血液塗抹標本でなければ血液像の成績を大きく左右し,正しい診断はできないことになる.標本作成には技術者のテクニックは大切なことであるが,そのほか清浄なスライドガラス,引きガラス,乾燥の仕方なども大きな条件となるのでこれらを中心として述べる.
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