連載 感染症診断と病理(10)
古標本に病原体を証明する
堤寬
1
1つつみ病理相談所・所長
pp.939-949
発行日 2018年4月1日
Published Date 2018/4/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201804939
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近年では,分離された病原体や腫瘍の新鮮検体,そしてそのRNA・DNAサンプルが凍結保 存され,血清の冷凍保存も進んでいる。腫瘍バンクや組織バンクの仕組みが工夫され,さまざまな研究に役立っている。しかし,こうしたサンプリングが始まる以前の臨床検体の入手は非常に難しい。固定された病理サンプルやパラフィンブロックは,唯一入手可能な古い人体材料と言える。保存さえなされていれば,さまざまな病理学的解析への利用が可能である。筆者が経験した「古病理学」の実例を冒頭ページに提示する。