第Ⅲ部 治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉~新薬の広場~
抗凝固薬・抗血小板薬
安珍守
1
,
赤尾昌治
2
1国立病院機構京都医療センター循環器内科
2国立病院機構京都医療センター循環器内科 部長
pp.599-606
発行日 2018年2月28日
Published Date 2018/2/28
DOI https://doi.org/10.20837/1201813599
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心房細動(atrial fibrillation:AF)による塞栓症の予防を目的に,2011 年初めに直接型経口抗凝固薬(DOAC)が使用可能となった。抗凝固薬による治療は新たな時代を迎え,肺塞栓症・下肢深部静脈血栓症に対しても,適応拡大された。高齢化が進む日本において,AF の有病率は増加の一途をたどり,2050 年にはAF 患者は100 万人(総人口の約1.1%)を超えると予測されている。また,抗血小板領域においても,新規抗血小板薬チカグレロルが製造販売承認を取得し,今後は更なる使用指針を示されることが期待される。近年では,高齢化と有病率の上昇に伴って,抗凝固薬・抗血小板薬を併用する機会も増加してきていることより,抗血栓薬の併用数と期間を減らす方向に関心が向かっている。本稿では,我々が地域の医療機関の総力をあげて実施している伏見心房細動登録研究(伏見AF レジストリ)のデータを紹介しながら,最新の知識を概説してみたい。