第Ⅲ部 治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉~新薬の広場~
婦人科癌治療薬
西川伸道
1
,
榎本隆之
2
1新潟大学医学部産科婦人科学教室 講師
2新潟大学医学部産科婦人科学教室 主任教授
pp.545-551
発行日 2018年2月28日
Published Date 2018/2/28
DOI https://doi.org/10.20837/1201813545
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婦人科癌のうち,卵巣癌はその半数がⅢ期以上の進行症例で発見される。しかし固形癌の中では比較的抗癌剤の感受性が高い癌種であり,進行癌であっても集学的治療を行うことによって,長期に生活の質を保ち,さらには生命予後も改善できることがある。
卵巣癌の薬物療法は,長年プラチナ製剤とタキサン製剤の併用療法を主体とし,その治療効果を超える抗癌剤は開発されていなかった。だが,分子標的治療薬であるベバシズマブを加えることで無増悪生存期間が延長し,承認された現在では積極的に用いられ,良好な成績を得ていることから,標準的治療が変わる可能性も示唆される。またPARP(Poly〔ADP-Ribose〕Polymerase)阻害薬やPD-1/PD-L1(programmed cell death-1/programmedcell death ligand-1)阻害薬などが,海外の大規模第Ⅲ相試験で有効性が示されている。今回はPARP 阻害薬とPD-1 阻害薬,VEGF(血管内皮増殖因子)阻害薬について述べる。