第 I 部 新薬創出を取り巻く環境変化
2.臨床疫学における医療系データベース活用~ライフコースデータ構築も視野に~
川上浩司
1
1京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻薬剤疫学分野・教授
pp.423-428
発行日 2018年2月28日
Published Date 2018/2/28
DOI https://doi.org/10.20837/1201813423
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医療現場の各種情報が集積され,医療リアルワールドデータや疾患レジストリとして二次利用が可能になった。そのため,臨床研究においては,介入研究のみならず観察研究による医療や医薬品の評価の扉が大きく開かれ,臨床疫学や薬剤疫学研究が注目されている。さらに,個人が疾病に罹患する以前の,人生の健康の歴史を紡ぐライフコースデータにおいて,特に幼少期から学童期の健診情報をデータベース化することにより,どのような幼少期の健康状態がどのように病気の罹患に繋がっていくのか,というデジタルコホートによる縦断研究が可能となる。本稿では,その現状と展望について解説する。