連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く〈80〉
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 特任准教授
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 客員教授
キーワード:
● カテキン,高地,免疫チェックポイント阻害薬,網膜障害,非結核性抗酸菌症,セントジョーンズワート
Keyword:
● カテキン,高地,免疫チェックポイント阻害薬,網膜障害,非結核性抗酸菌症,セントジョーンズワート
pp.2668-2673
発行日 2018年12月1日
Published Date 2018/12/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018122668
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.健康成人を対象とした試験において,緑茶抽出物の併用によりジゴキシンの血漿中濃度が約30%低下したことが報告されている。 2.健康成人を対象に高地で行われた試験において,ゾルピデム服用後3.5時間で起床した場合,認知機能や姿勢制御機能に影響が認められたことが報告されている。 3.有害事象データベース,大規模病院の診療録データ,臨床試験のメタアナリシスにより,致死的な有害事象として抗PD-1/PD-L1(programmed cell death-1/programmed cell death ligand 1)抗体では肺炎,肝炎,神経毒性などが多く,抗CTLA-4(cytotoxic T lymphocyte-associated antigen 4)抗体では大腸炎などが多く,これらは治療開始後早期に発現し,死亡までの期間も短かったことが報告されている。
4.高用量のシルデナフィルを高用量で服用した男性患者が,赤視症や光視症といった視覚障害を訴え,症状は3カ月経っても改善しなかった症例が報告されている。 5.北カリフォルニアの医療情報データベースを用いた症例対照研究によると,気道疾患患者では吸入ステロイドが非結核性抗酸菌症のリスクを上昇させる可能性が示唆されている。 6.健康成人を対象とした薬物動態試験において,セントジョーンズワート併用によりマシテンタンのAUC(血中濃度−時間曲線下面積)は約50%,リバーロキサバンのAUCは約25%低下したことが報告されている。