連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く(79)
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 特任准教授
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 客員教授
キーワード:
● 肝癌,類天疱瘡,CPMS,長期使用,酵素阻害,酵素誘導
Keyword:
● 肝癌,類天疱瘡,CPMS,長期使用,酵素阻害,酵素誘導
pp.2486-2492
発行日 2018年11月1日
Published Date 2018/11/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018112486
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.スコットランドの医療情報データベースを用いた症例対照研究,英国の医療情報データベースを用いたコホート研究において,PPI(プロトンポンプ阻害薬)服用と肝癌のリスク上昇との関連が認められたことが報告されている。 2.北イスラエルの医療施設での症例対照研究において,DPP-4(ジペプチジルペプチダーゼ-4)阻害薬の使用と水疱性類天疱瘡のリスク上昇との関連が認められ,特にビルダグリプチンとリナグリプチン,男性,70歳未満で関連の強かったことが報告されている。 3.本邦のクロザリル患者モニタリングサービスのデータの分析により,好中球減少症/白血球減少症の発現率は5.4%,耐糖能異常の発現率は12.8%であったことが報告されている。 4.イスラエルの医療情報データベースを用いたコホート研究において,睡眠薬を開始した患者の約20%が10年後も一定量を処方されており,ベンゾジアゼピン系よりも非ベンゾジアゼピン系の方が長期使用に至るリスクが高かったことが報告されている。 5.健康成人を対象とした試験において,シクロスポリンの併用によりグラゾプレビルのAUC(血中濃度−時間曲線下面積)が15.2倍に上昇し,エルバスビル/グラゾプレビルの併用によりタクロリムスのAUCが1.43倍に上昇したことが報告されている。 6.健康成人を対象とした試験において,タンジンの併用によりクロピドグレルおよび活性代謝物の血漿中濃度が低下し,血小板凝集抑制作用が減弱し,CYP(チトクロムP450)3A4を誘導する可能性が示唆されている。