連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く〈69〉
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 特任准教授
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 客員教授
キーワード:
● 精神神経学的有害反応,オピオイド,多剤併用,CYP3A4,グレープフルーツジュース,NOAC
Keyword:
● 精神神経学的有害反応,オピオイド,多剤併用,CYP3A4,グレープフルーツジュース,NOAC
pp.152-158
発行日 2018年1月1日
Published Date 2018/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201801152
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
〔今月の注目論文のポイント〕 1.有害事象自発報告データベースの調査において,モンテルカスト服用による頭痛,攻撃性,不眠,不安,異常行動などの精神神経学的有害反応のシグナルが検出されている。 2.カナダの医療情報データベースを用いた症例対照研究において,オピオイドとガバペンチン,特に高用量のガバペンチンとの併用で,オピオイド関連死のリスクが上昇することが示唆されている。 3.フィンランドの大学病院一施設の診療録データおよび医療情報データベースを用いた調査において,高齢の初発てんかん患者ではカルバマゼピンと相互作用する可能性のある薬剤を多剤併用している割合が高かったことが報告されている。 4.健康成人を対象とした試験において,リファンピシンの併用によりイストラデフィリンの血漿中濃度が顕著に低下したことが報告され,CYP(チトクロムP450)3A4を介した相互作用が示唆されている。 5.健康成人を対象とした試験において,空腹時投与と比較して,高脂肪食後投与ではブロナンセリンの血漿中濃度が中等度に上昇し,グレープフルーツジュース併用時には顕著に上昇したことが報告されている。 6.台湾の医療情報データベースを用いたコホート研究において,非弁膜症性心房細動でNOAC(非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬)を処方された患者では,アミオダロン,フルコナゾール,リファンピシン,フェニトインの併用により大出血のリスクが上昇する可能性が示唆されている。