連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く〈68〉
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 特任准教授
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 客員教授
キーワード:
● 抗PD-1抗体,ペニシリンアレルギー,CYP2C8,遅延型過敏反応,スタチン,認知機能
Keyword:
● 抗PD-1抗体,ペニシリンアレルギー,CYP2C8,遅延型過敏反応,スタチン,認知機能
pp.2718-2724
発行日 2017年12月1日
Published Date 2017/12/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201712130
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.米国の病院単施設で行われた調査において,ニボルマブまたはペムブロリズマブを投与された患者のうち2.9%で,ミオパチー,神経障害,小脳性運動失調,網膜症,眼筋麻痺,頭痛といった神経学的合併症が認められたことが報告されている。 2.米国の病院単施設で行われた調査において,保護者からペニシリンアレルギーの申告があった小児のうち,約7割は真のペニシリンアレルギーではないと考えられる症状からペニシリンアレル健康成人を対象とした試験において,セレキシパグの活性代謝物の血漿中濃度はリファンピシン併用で低下,ゲムフィブロジル併用で上昇し,CYP(チトクロムP450)2C8を介した相互作用が示唆されている。 4.台湾の病院単施設で行われた調査において,プロトンポンプ阻害薬に関連した遅延型過敏反応の69症例が報告されており,構造的に異なるプロトンポンプ阻害薬では交差反応を示さなかったとされている。 5.米国の病院2施設で行われた調査において,スタチンによる推定有害反応を経験後にスタチンを再開した群では,再開しなかった群と比較して4年後の心血管イベントや全死因死亡のリスクが低かったことが報告されている。 6.スタチン服用患者でのエボロクマブの追加効果を検討したプラセボ対照比較試験のサブグループを対象とした試験で,19.4カ月の追跡期間における認知機能の変化はプラセボ群とエボロクマブ群で同程度であったことが報告されている。