連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く 〈30〉
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科医薬品情報学講座
2東京大学大学院薬学系研究科医薬品情報学講座教授
キーワード:
●粘液水腫性昏睡,QT延長,股関節骨折,肺水腫,結節性多発動脈炎
Keyword:
●粘液水腫性昏睡,QT延長,股関節骨折,肺水腫,結節性多発動脈炎
pp.2308-2313
発行日 2014年9月1日
Published Date 2014/9/1
DOI https://doi.org/10.20837/12014092308
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医薬品適正使用を実践するには,最新の医薬品情報が必須である。これまで知られていない副作用や薬物相互作用に関する情報は,症例報告や臨床研究報告を読み解く必要がある。本連載では,医薬品添付文書に記載されていない副作用や薬物相互作用を中心に,最新の英語論文の概要を紹介する。
〔今月の注目論文のポイント〕
1.男性高齢患者において,アミオダロン投与開始後5カ月で,甲状腺機能低下を伴う粘液水腫性昏睡を呈した症例が報告されている。
2.QT間隔延長を呈した患者の診療録調査により,原因の可能性がある薬物動態学的相互作用として最も多かったのはオンダンセトロン+アセトアミノフェン,薬力学的相互作用はアミオダロン+オンダンセトロンだったことが報告されている。
3.医療情報データベースを用いた症例対照研究により,プロトンポンプ阻害薬服用による股関節骨折リスクは,ビスホスホネート薬併用でさらに上昇する可能性が示唆されている。
4.白内障手術後の眼圧上昇予防のためアセタゾラミドを単回投与された高齢男性患者において,投与直後に再発性ショックや肺水腫を呈した症例が報告されている。
5.ニキビ治療のためミノサイクリンを投与されていた女性患者において,全身痛などを伴う皮膚結節性多発動脈炎を呈した症例が報告されている。
6.健康成人を対象とした試験において,炭酸カルシウムの併用はイマチニブの薬物動態に影響を及ぼさなかったことが報告されている。
Key Words●粘液水腫性昏睡,QT延長,股関節骨折,肺水腫,結節性多発動脈炎