連載・副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く〈81〉
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座・特任准教授
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座・客員教授
キーワード:
● 小児,抗コリン作用,末梢神経障害,発疹,オタネニンジン,食事
Keyword:
● 小児,抗コリン作用,末梢神経障害,発疹,オタネニンジン,食事
pp.158-163
発行日 2019年1月1日
Published Date 2019/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201901158
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.米国で行われた調査によると,未成年者の約2割が処方薬を服用しており,また,2剤以上を服用しているうちの約1割に潜在的な薬物間相互作用の問題があった。 2.米国の医療情報データベースを用いた調査によると,高齢パーキンソン病患者でアセチルコリンエステラーゼ阻害薬を処方されている患者の約45%で,作用の拮抗する抗コリン作用の強い薬剤が併用されていた。 3.米国の医療情報データベースを用いた症例対照研究によると,TNF(Tumor Necrosis Factor)阻害薬を半年~1年前に使用していた場合,メトトレキサート+疾患修飾抗リウマチ薬を使用していた場合よりも末梢神経障害のリスクが高かった。 4.米国の皮膚筋炎患者を対象としたコホート研究によると,自己抗体である抗SAE-1/2(small ubiquitinlike modifier 1 activating enzyme)抗体陽性の場合はヒドロキシクロロキンによる発疹のリスクが高く,抗MDA-5(melanoma differentiation-associated gene 5)抗体陽性の場合は同リスクが低かった。 5.韓国で行われた健康成人を対象とした薬物動態試験とin vitro試験によると,紅参(オタネニンジン)の併用は薬物動態に関与する代謝酵素やトランスポーターを介した相互作用を起こさないと考えられた。 6.健康成人を対象とした試験によると,単回投与時には空腹時投与よりも食後投与でドキシサイクリンの血漿中濃度と皮膚間質液中濃度は低下したが,反復投与によりその影響は消失した。