医薬ジャーナル論壇
生涯「学問」と薬剤師
寺田智祐
1
1滋賀医科大学教授・医学部附属病院薬剤部長
pp.2361-2363
発行日 2018年11月1日
Published Date 2018/11/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018112361
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医療者には,自身の資質向上と患者への十分な奉仕のために,生涯「学習」の実践が求められている。学習法は個人によって多種多様であるが,昨今のパソコン・スマートフォン(スマホ)の普及に伴って,効率的な方法も広まっている。例えば,「調べる」という作業一つをとっても,WEBやアプリを介したキーワード検索によって,目的の情報に易々とたどりつける。一方で,このようなスマホの利用が,子どもの学力低下につながっているという心配なデータもある。我々薬剤師や薬学生とて例外ではなく,効率的で浅い学習法を繰り返してばかりいると,大きなしっぺ返しを食らうかもしれない。医療の現場では,正解のない局面に出くわすことが多く,そこでは正解の代わりに最も適した解(最適な解)が求められる。最適な解へたどり着くためには,「本当にこれで良いのか」,「他に解はないのか」など,問い続ける態度を忘れてはならない。学問の本質も“問い続けること”であり,生涯学習とともに生涯「学問」の姿勢を身につけていきたいものだ。