想園
ナースの学問的良心
渡辺 一江
pp.65-66
発行日 1964年3月1日
Published Date 1964/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912186
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人間は,自分の勉強した努力の集約として,自分の専門的学問に対する自信と,プライドを持っている。私のように,まだ人生の過半しか過ぎないものは,その学問の浅さ故にそれほどの確信や,プライドはないにしても,いちおう習いおぼえ考えあげたものに対して,私なりの学問的究明はなされている。そして何かが起こった時,私が真にナースの良心的行動の基礎とするものは,この学問にたよる以外にない。
今なぜ,私がこんなことを考えざるを得なくなったのかというと,あまりにも悲しい出来事が,私のいる病院で行なわれているからである。それは今まで,総合病院として地域の人たちに利用され,いざという時の心の支えにもなっている。この病院が,全面的に廃止され,特殊な子どもだけをみる,病院にされようとしている。もちろんこれは厚生省の方針である。このことに対して私たちナースが中心になって,地域の人たちが非常に困ること,職員が全員どこかに行かなくてはならないということで反対している。
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