医薬ジャーナル論壇
Choosing Wiselyと薬剤師
寺田智祐
1
1滋賀医科大学教授・医学部附属病院薬剤部長
pp.2223-2225
発行日 2016年10月1日
Published Date 2016/10/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201610027
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昨今,薬や手術の危険性を煽るような特集記事が週刊誌に何度も掲載されている。医療者の立場からは困惑せざるを得ないが,捉え方によっては,国民の医療に対する不安や不信感が反映されている証とも言えよう。このような状況を打破するには,医療者自ら,医療の適正化を進めていく必要がある。最近,米国では,裏付けるエビデンスが乏しいにも関わらず,日常的に実施されている検査や処方のリストをあげて医療の適正化を図る試み,すなわち「Choosing Wisely」という活動が始まっている。秀逸なのは,これらのリストは,無駄な医療を切り捨てるためではなく,医療者と患者のコミュニケーションを促進させるツールとして活用されていることである。本稿では,Choosing Wiselyの成り立ちや現況,そして日本での導入状況について紹介する。