特集 免疫チェックポイント療法の新潮流
2.抗PD-1抗体の抗腫瘍効果の発見と検証
岩井佳子
1
1日本医科大学 先端医学研究所 細胞生物学部門・大学院教授
pp.1817-1822
発行日 2018年8月1日
Published Date 2018/8/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018081817
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免疫チェックポイント分子PD-1(programmed cell death 1)は活性化したT細胞に発現する免疫抑制受容体で,生理的なリガンド(PD-L1〔PD-1 ligand 1〕およびPD-L2)が結合すると,T細胞の増殖やエフェクター機能を抑制する。がんはこの抑制機構を利用して,宿主の免疫監視から逃れている。PD-1は1992年に京都大学の本庶研究室で発見され,動物モデルにおいてPD-1阻害剤が原発性腫瘍および転移性腫瘍に対して抗腫瘍効果を示すことから,完全ヒト型PD-1抗体ニボルマブが開発された。ニボルマブは2014年に世界に先駆けて本邦で悪性黒色腫の治療薬として承認され,現在さまざまな種類のがんへ適応が拡大しつつある。本稿ではPD-1の機能解明からPD-1抗体の開発に至る経緯と,PD-1阻害剤の特徴について概説する。