特集 神経難病と創薬
7.アルツハイマー病の創薬の展望
天野晶子
1
,
三條伸夫
2
1東京医科歯科大学大学院脳神経病態学分野
2東京医科歯科大学大学院脳神経病態学分野 特任教授
pp.1655-1660
発行日 2018年7月1日
Published Date 2018/7/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018071655
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日本においてアルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)患者は経年的に増加しており,発症機序の解明や早期診断技術,治療法の開発が待たれる。現在のアルツハイマー病治療薬は,認知機能低下を一時的に抑制する症状改善薬であるため,疾患そのものを標的とした根本治療に向けた病態修飾薬(disease-modifying therapy:DMT)の開発が望まれている。最近では,これまで支持されてきた「アミロイドカスケード仮説」を修飾した形とも言える,可溶性アミロイドβタンパク質(A β)の低分子重合体「A βオリゴマー」による神経毒性が認知機能低下に繋がるとする「A βオリゴマー仮説」が有力視されている。本稿では,A βオリゴマー仮説に基づいたDMT開発の現状と今後の展望について概説する。