特集 神経難病と創薬
6.パーキンソン病の創薬の展望
中西悦郎
1
,
髙橋良輔
2
1京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座臨床神経学(脳神経内科)
2京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座臨床神経学(脳神経内科) 教授
pp.1649-1653
発行日 2018年7月1日
Published Date 2018/7/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018071649
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パーキンソン病は代表的な神経変性疾患の一つで,本邦の患者数は約15~18万人とされており,社会の高齢化に伴いその数は増加傾向にある。これまでに多くの抗パーキンソン病薬が開発され,運動症状に対する治療効果は良好である。また遺伝子治療や,iPS細胞を用いた移植治療が実用化されつつある。しかしながら,現在用いられているいずれの治療法も運動症状に対する対症療法であり,未だ神経細胞変性を抑制する疾患修飾治療は開発されていない。疾患修飾治療としてαシヌクレインを治療ターゲットにした免疫治療を中心に,いくつかの治験が進行中であり,疾患修飾治療の実用化が期待されている。また疾患修飾治療の開発において,神経変性を評価できる適切なバイオマーカーと動物モデルの開発も重要な課題である。