特集 神経難病と創薬
2.神経難病と核酸医薬による分子標的治療の現状
山田大貴
1
,
永田哲也
2
,
横田隆徳
3
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科脳神経病態学分野
2東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科脳神経病態学分野 プロジェクト准教授
3東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科脳神経病態学分野 主任教授
pp.1613-1621
発行日 2018年7月1日
Published Date 2018/7/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018071613
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核酸医薬はRNAやタンパク質などを標的として細胞内遺伝子発現の段階での作用機序を有し,低分子医薬や抗体医薬ではアプローチできなかった疾患の根本治療としての可能性が期待されてきた。生体内での安定性や標的臓器へのデリバリー効率が問題となり,臨床現場にまで到達できた核酸医薬は多くなかったが,核酸化学や工学の発展に伴って上記の問題点を解決する研究が促進された。近年,核酸医薬は多くの成果を上げ,2017年には日本でもヌシネルセンが脊髄性筋萎縮症の治療薬として承認され,これにより従来有用な治療法が無かった神経疾患でも,核酸医薬の可能性が大いに期待されるようになった。現在,さまざまな神経難病に対する核酸医薬の臨床試験が進行している。