特集 実臨床へ向けた時間医薬研究の新動向
5.概日リズムの加齢変容と不妊
高須奈々
1
,
中村孝博
3
,
中村渉
2
1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科加齢口腔生理学分野
2長崎大学大学院医歯薬学総合研究科加齢口腔生理学分野 教授
3明治大学農学部動物生理学研究室・准教授
pp.1439-1444
発行日 2018年6月1日
Published Date 2018/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018061439
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加齢に伴い女性の生殖機能は変容し,閉経を迎えるまでに性周期不整や不妊を呈する。このような移行期間に作用する要因は多岐にわたる一方,従来より規則正しい生活を心がけることが性周期不正の防止につながることが提唱されてきた。その生理学的メカニズムを明らかにするため,中年期の野生型マウスに対して“社会的時差ボケ”を引き起こすと,性周期不整を呈した。また,体内時計機能が変異した時計遺伝子Cry 欠損マウスは,早期に性周期不整や不妊症状を呈した。そこでCry 欠損マウスの固有の概日周期に対して環境の明暗周期を調和させたところ,性周期不整が改善し,妊娠成功率は劇的に上昇した。これらの結果は,早期に発症する性周期不整・不妊等の加齢変容が,体内時計の機能に強く依存することを示している。