特集 実臨床へ向けた時間医薬研究の新動向
4.時差環境下における概日リズム障害の分子メカニズムと治療標的
山口賀章
1
1京都大学大学院薬学研究科システムバイオロジー分野
pp.1433-1438
発行日 2018年6月1日
Published Date 2018/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018061433
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概日リズムにより,生体は地球の自転による明暗変動を予測し,最適に行動や代謝を調節することで生存率を向上させている。脳の視交叉上核(SCN)は,神経結合によって強固な振動体を形成し,概日リズムの最高位中枢として全身の細胞振動を統括している。ところが,明暗リズムが急激に変動する時差環境下では,SCNの概日振動がいったん停止し,時差ボケ状態となることが分かってきた。本稿では,時差症状を示さないマウスを用いて見出した時差環境下での再同調機構を紹介する。また,時差の社会問題として,慢性的な時差勤務によるシフトワーカーの生活習慣病リスクがあるが,その対処法についても考察したい。