特集 実臨床へ向けた時間医薬研究の新動向
3.睡眠のフォワード・ジェネティクス研究
船戸弘正
1
1東邦大学医学部解剖学講座・教授/筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構・教授(WPI-IIIS)
pp.1427-1431
発行日 2018年6月1日
Published Date 2018/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018061427
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脳を持つ動物は必ず眠る。脳と心が適切に働くために,睡眠は不可欠の要素である。このような重要性にも関わらず,睡眠の機能や意義は明らかではない。例えば,睡眠覚醒の切り替えを駆動する制御機構や,眠気の分子的実体といった根本的な部分は全く明らかになっていない。 我々は,睡眠の分子生物学的理解を深めようと,マウスを用いたフォワード・ジェネティクス研究に取り組み,遺伝性の睡眠異常を示すマウス家系の解析から,リン酸化酵素SIK3(Salt-inducible kinase 3)および非選択的陽イオンチャネルNALCN(Sodiumleak channel, non-selective)が睡眠制御に関与していることを明らかにした。これらの分子を起点として,睡眠制御の分子機構や睡眠障害の病態生理が明らかとなる可能性がある。