Japanese
English
特別寄稿
睡眠研究今昔
The Past and Present of Sleep Study
秋元 波留夫
1
Haruo Akimoto
1
1都立松沢病院
1Tokyo Metropolitan Matsuzawa Hospital
pp.237-247
発行日 1985年2月15日
Published Date 1985/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203903
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I.はじめに
1966年3月,東京大学をやめてから,睡眠研究については,それこそすっかり眠りこんでいた私であるから,皆さんのお役にたつような話ができそうもない。しかし,昔,金沢の教室で一緒に睡眠の仕事をした山口教授のせっかくの依頼なので,おひきうけすることにした。
私たちが金沢で睡眠の仕事を始めたのは戦後間もない1954年ごろである。私の記憶ではそれ以前わが国では睡眠の研究,特に実験的研究はほとんど行われていなかったから,金沢での仕事は,わが国睡眠研究のあけぼのでもあった。その後,わが国の睡眠研究は長足の進歩を遂げ,研究者も基礎・臨床医学はもとより,生物学,心理学などの広い範囲に及び,優れた研究が行われるようになった。睡眠研究の組織としては,1960年代に私もその一員であった文部省科学研究費による睡眠研究班注)が作られたが,全国組織に成長するまでには至らなかった。しかし,多年の要望であった日本睡眠学会が1977年創立され,1979年には東京で国際睡眠学会を主催することができた。実にめざましい発展である。まことに今昔の感に堪えない。このような感慨をこめて,しばらく睡眠研究の足跡を辿り,それに私の所信の若干を加えて,山口教授から与えられた責任を果したい。
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