特集 実臨床へ向けた時間医薬研究の新動向
2.概日リズムの分子メカニズム~RNA編集による転写後制御とリン酸化シグナリング~
吉種光
1
1東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻
pp.1419-1425
発行日 2018年6月1日
Published Date 2018/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018061419
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概日時計は,約24時間という地球の環境サイクルに適応するために生物が獲得した生体機能である。体内の時計振動を,今日の時刻情報を用いて微調整することにより,明日を予知するという有利性を生物に与える。しかし現代社会において,グローバル化や交代勤務による慢性的な時差ボケ,および不規則な生活に伴う深夜の照明により,有利に機能するはずの概日時計が撹乱され,多くの現代病の発症へとつながっている。本稿では,概日時計の分子的な仕組みについて,特にRNA編集による転写後制御と細胞内リン酸化シグナリングに焦点を絞って最近の知見を紹介する。