特集 遺伝子治療における技術革新の現状と課題
9.遺伝子治療技術の再生医療への応用
中西真人
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1国立研究開発法人 産業技術総合研究所・創薬基盤研究部門・ヒト細胞医工学研究ラボ長 ときわバイオ株式会社取締役(CTO)
pp.101-105
発行日 2018年1月1日
Published Date 2018/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201801101
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再生医療は,皮膚や間葉系幹細胞・造血幹細胞の移植や,胚性幹細胞の樹立に代表される発生工学など,遺伝子治療とは異なる歴史的・科学的背景の下に展開してきた。しかし,2007年のヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)の発見は,「遺伝子を使って性質を転換(リプログラミング)したヒト細胞」という概念が医療に取り入れられる大きな転機となった。また現在では,iPS細胞を介さずに遺伝子を使って細胞の機能を直接に転換する研究も進んでいる。本稿では,細胞のリプログラミングに使われる遺伝子導入・発現技術として注目を集めているステルス型RNAベクターの開発の現状と,再生医療への応用について紹介する。