特集 遺伝子治療における技術革新の現状と課題
4.がんウイルス療法の臨床応用
藤原俊義
1
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科消化器外科学・教授
pp.73-77
発行日 2018年1月1日
Published Date 2018/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201801073
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ウイルスは感染した宿主細胞で増殖し,さまざまな分子機構によって細胞死を誘導する。この殺細胞活性にがん選択性を付加することで,ウイルスを抗悪性腫瘍薬として用いることが可能となる。2015年10月,米国食品医薬品局(FDA)はアムジェン社が開発する腫瘍融解ヘルペスウイルスTalimogene laherparepvec(T-Vec)を悪性黒色腫に対する生物製剤として承認した。さらに,欧州医薬品庁(EMA)でも承認され,近年,世界的に腫瘍融解ウイルスの臨床開発が加速している。
本稿では,免疫学的観点からも注目されている腫瘍融解ウイルス製剤の開発の現況と展望について概説する。