特集 今知っておきたいゲノム医療と遺伝子治療―基礎から臨床まで
トピックス
がんに対する腫瘍融解ウイルス療法
藤原 俊義
1
,
谷本 光隆
2
,
野田 卓男
2
,
田澤 大
3
FUJIWARA Toshiyoshi
1
,
TANIMOTO Terutaka
2
,
NODA Takuo
2
,
TAZAWA Hiroshi
3
1岡山大学学術研究院医歯薬学域消化器外科学
2岡山大学病院小児外科
3岡山大学病院新医療研究開発センター
pp.361-364
発行日 2022年2月1日
Published Date 2022/2/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000073
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はじめに
ウイルスは自身で複製することができず,本来ヒトの細胞に感染,増殖し,その細胞をさまざまな機序により破壊することで拡散していく。この生活環を利用し,遺伝子工学技術を用いてその増殖機能にがん選択性を付加することにより,ウイルス自体をがん細胞のみを殺傷する治療用医薬品として用いることが可能となる。この腫瘍融解ウイルス(oncolytic virus:OV)は低侵襲ながん治療プラットフォームとして注目されており,筆者らもヒトアデノウイルス5型を基本骨格とするがん治療用ウイルス製剤Telomelysin(OBP-301)を開発し,薬事承認を目指した臨床開発を進めている。また,より難治な悪性腫瘍に対して,Telomelysinにp53がん抑制遺伝子を搭載した次世代型武装化アデノウイルス製剤も開発している。
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