特集 Drug delivery system(DDS)の最新展望
11.ウイルスを用いたDDS:悪性腫瘍のウイルス療法
藤原俊義
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1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科消化器外科学・教授
pp.1805-1810
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201407117
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近年,遺伝子工学的技術の進歩により,遺伝子改変ウイルスを癌治療に用いることが可能となってきた。ウイルスは本来ヒトの細胞に感染,増殖し,その細胞をさまざまな機序により破壊する。この増殖機能に遺伝子工学的に選択性を付加することにより,ウイルスを癌細胞のみ傷害する治療用医薬品として用いることができる。また,薬剤や核酸を運ぶDrug delivery system(DDS)と同様に,機能遺伝子を搭載して標的癌細胞に導入することで,その抗腫瘍活性を増強することができる。本稿では,従来の癌治療とは異なる新たな戦略として開発されている,ウイルス製剤の癌治療への応用について概説する。