特集 先制医療が切り拓く新たな地平~ライフコース・ヘルスケアの確立を目指して~
7.アルツハイマー病のためのライフコース・ヘルスケア
岩坪威
1
1東京大学大学院医学系研究科神経病理学分野・教授
pp.2083-2087
発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201709101
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
アルツハイマー病(AD)は高齢者認知症の過半数を占め,その数は年々増加しつつあり,この先制医療をライフコースに即して設計することは喫緊の課題である。AD脳におけるアミロイドβなどの病因タンパク質の異常蓄積は,認知症症状の発現より15年以上も前より先行していることがアミロイドPET(positron emission tomography)などの先進技術によって示された。そこで,認知症期,軽度認知障害期に先行する無症候・病理陽性の「プレクリニカルAD」期における薬剤介入での効果が期待されている。高齢者認知症にADが占める膨大な割合を考えると,まず先進的な診断法を用いた治験で疾患修飾薬による介入の対象と方法を確定し,それに基づいてより簡易なリスク判定法を編み出し,生活習慣介入などの汎用性のある方策と組み合わせて予防を図ることが必要となろう。