特集 先制医療が切り拓く新たな地平~ライフコース・ヘルスケアの確立を目指して~
6.慢性閉塞性肺疾患(COPD)のためのライフコース・ヘルスケア
一ノ瀬正和
1
1東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座呼吸器内科学分野・教授/東北大学病院呼吸器内科・科長
pp.2075-2081
発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201709093
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慢性閉塞性肺疾患(COPD)は,肺の気腫化や気道の炎症による疾患である。危険因子はタバコ煙や大気中の汚染物質などへの長期曝露であるが,プロテアーゼ/アンチプロテアーゼ不均衡および酸化ストレス制御機能の低下が病態を修飾する。最近では,老化の加速や肺の低発育もCOPDの病因として注目されており,肺の低発育の原因として,胎児期の母親の喫煙・大気汚染,あるいは小児期の肺炎,気管支喘息の既往があげられる。COPDは全身性の炎症や息切れによる身体活動の低下から,心血管疾患や糖尿病などの慢性疾患を併存しやすい。
COPDの早期診断・介入は,他の成人病や生活習慣病の発症予防や重症化の抑制に繋がると考えられる。