特集 先制医療が切り拓く新たな地平~ライフコース・ヘルスケアの確立を目指して~
2.胎生期からはじまる成人の疾患~DOHaD説~
福岡秀興
1
1早稲田大学ナノ・ライフ創新機構規範科学研究所・教授
pp.2045-2050
発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201709063
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少産多死,人口減少,高齢化,格差社会などの進む日本において,低出生体重児の割合は高値を持続している。これは母体を取り巻く栄養環境の劣悪化によると考えられ,次世代の健康リスクが強く危惧される。生活習慣病を含めた成人病の疾病素因は,胎生期,乳幼児期に形成されるという,新たなDOHaD(Developmental Origins of Health and Disease)説が注目されている。多くの飢餓事件のコホート研究から,妊娠各時期の低栄養曝露による発症疾病像が明らかとなってきた。特に妊娠初期の低栄養は疾病の発症に強く影響するので,妊娠前からの栄養教育の重要性は高い。それに関連して,小さく生まれた場合女性の早期閉経も一つの問題として注目されている。